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2024.07.30

幼少からの日本での生活と、若年時の就業経験を活かしての現在の環境。より業容を拡大していきたい —— 青山特殊鋼 傅正光所長に話を聞く

青山特殊鋼株式会社

――最初にご経歴をお聞かせいただけますか?
家庭の事情で12歳のときに東京に移住しました。日本語は全くできませんでしたが中学校2年生に編入しました。若かったこともあり2年位で言葉に不自由しなくなりました。高校は工業高校に進みました。その後、日本語教師養成の専門学校に入りました。しかしあまり高い給料を稼げそうにないと思い、会計を学ぶためにアメリカのシアトルに留学しました。

2年半ほど経ったときにパスポートの更新が必要になり台湾の代表処(領事館に該当)に行きました。すると帰国して兵役する義務があると伝えられました。仕方なく留学を打ち切り台湾に帰国して、1年10か月間の兵役に行きました。

兵役を終えたときにはもう25歳、そのまま台湾で就職しようと考え、日本語もできることから日系のエンジニアリング会社に入社しました。5年勤めた後に、日系の金属専門商社に転職しました。同社では一般的には1種類の材料を長い期間担当するのですが、私は様々な材料を担当しました。

その経験が後に活きることになりました。 同社は後に外資系ファンドの傘下に入り社名を変えました。台湾の現地法人も社名を変え、その所属となりました。しかしながらその過程で辞める社員も少なくなく、実は弊社の取締役で台湾の董事長もその日系の金属専門商社から青山特殊鋼に転職した者です。そして弊社が台湾に現地法人を設立することを決定した後、その取締役から声をかけていただき、私も弊社に転職することになったわけです。

――台湾でのビジネス展開について教えてください。
通常、我々業界のビジネススタイルは、相手方の要望に合わせた特殊な鋼材を納めるため、5年や10年など長期の契約をします。ですので契約を取ればある程度安定したビジネスと言えるでしょう。

メインの納入先の業界は自動車と半導体向け、あるいはそれら業界の部品製造用金型となっています。 私を弊社に引き入れた取締役は弊社に転職してきた後に、新たなビジネススタイルを始めました。それは取引先を訪れて課題を聞いたり、あるいは例えば使っている製造機械などの不満を耳にして、弊社で課題解決できることが多く潜在していることに気が付きました。

台湾でもそのビジネススタイル・・・開発型営業所と呼んでいますが、そのような拠点にしていきます。先ほど申し上げたように、私は前職時代に多品種の材料を取り扱っていた経験がここで活きてきています。

(青山特殊鋼株式会社:https://www.aoyamasteel.co.jp/

――事業の課題はございますか?
現在中国と米国の貿易摩擦の影響で、日本や世界の特殊鋼の需要は台湾や韓国から望む需要が高くなってきています。また円安は日本への輸出は向かい風になりますが、品質の高い日本製品を仕入れたい台湾企業にとっては追い風です。おかげさまで開設以来問い合わせが多く、出だし好調です。そのため即戦力となる経験者の人材を早期に増やしたいと思います。

――One&Coにご入居してからの感想を教えてください。
オフィスの選定の際にはいくつかのシェアオフィスと比較しました。One&Coは共有スペースが充実しており、また入居者同士のコミュニケーションも盛んな点が、スタッフともに気に入っています。他のところはコミュニケーションは基本的にありません。One&Coのように交流会やイベントはありません。

――最後に、今後の意気込みや目標を教えて下さい。
初年度はとにかく売上を上げることが目標です。おかげさまで今までの取引先などからスポット案件ながらそれなりに大きいオーダーをいただくことができました。今後は安定した経営のためにも消耗品など定期需要のある材料の受注を増やしたいと思います。そして計画通りにスタッフも増やしていきたいと思います。

個人的には趣味は1200CCの大型オートバイでのツーリングです。しかも現在のものは川崎のヴィンテージモデルです。実はスーパーカブも持っており、街中で結構注目を浴びています(笑)。

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