――最初にご経歴をお聞かせいただけますか?
千葉県船橋市の出身です。中学2年生の時にカナダでホームステイをしました。日本から遠く離れた地での生活に大きなカルチャーショックを受けると共に、日本ブランドのクルマが走る光景を見て、海外と日本の繋がりも同時に感じました。
大学では国際政治を学び2008年に卒業しました。学生時代は東南アジアや東ヨーロッパなどを旅し、現地の生活や歴史に触れ、海外を学ぶことで日本をより意識するきっかけになりました。
そのような経験や学びがあったため、海外でのビジネスに興味があり、就職活動では商社や国際物流など海外に関わる仕事を探しました。そしてグローバルなHondaブランドをバックボーンとし、海外赴任のチャンスもあるホンダトレーディングに入社が叶いました。
新卒入社後しばらくは国内での業務に携わった後、念願の海外赴任となりました。2014年からインドネシアに3年、その後2017年から英国に3年3か月駐在をしました。これら2か国にはHondaの完成車工場があり、主な業務は自動車部品サプライチェーンに関わる貿易の仕事でした。たくさんの方々が従事する完成車の製造ラインに原材料や部品を供給する為、欠品することが許されないというプレッシャーや責任感と同時にやりがいのある業務でした。そして2020年、コロナの蔓延により隔離が必要となる直前に英国より帰国しました。
その後、日本では新規事業部門が発足されることとなり、立上げとともに新事業に携わる事になりました。本社を離れ、外部企業や産学連携といった目的で、虎ノ門ヒルズに森ビルが開設したインキュベーションセンター「ARCH」のメンバーになりました。そこでは日本を代表する大企業の新規事業部門が多く入居しており、様々な異業種交流を通じて、新たなアイデアを産む環境を経験することができました。そして2023年4月に、それまで仕事ではあまり縁の無かった台湾への駐在を命じられました。
(株式会社ホンダトレーディング:https://www.hondatrading.com/)
――台湾でのビジネス展開について教えてください。
台湾ホンダトレーディングはモビリティに関連した商材の国際間貿易事業がメインとなっています。台北と高雄に拠点を置き、約30名の従業員とともに、約20か国のお客様との間で2,000点を超える品目の取り扱いを行っています。
主な商材は、自動車の生産に使われる部品や原材料ですが、近年小型のeモビリティの取扱いも行っています。台湾からの輸出比率は売上の7割程で、主な取扱製品は鉄鋼、樹脂、タイヤ、センサー類などの電子部品、ナビゲーションシステムなどです。
今、自動車産業は「100年に一度の大変革期」と言われ、電動化や自動運転といった流れの中で、お客様が期待するサプライチェーンも大きく様変わりしています。私たちはこれを「新たな機会」と捉え、世の中の変化に柔軟に対応し、既存のコア事業を強くしていきながら、同時に新たな事業を創り育てる取組みをしています。前述した小型のeモビリティの事業はその取組みで生まれた事業で、台湾企業とのパートナーシップで生まれた好事例となっています。
一方、会社としての方向性を定める中で、私たちの働き方やオフィス環境の在り方も見直しの必要を感じ、2024年に台北と高雄の両オフィス移転プロジェクトを敢行しました。
台北オフィスは「新規事業のハブ」として、そして高雄オフィスはコア事業を一貫して遂行する「コアオペレーションハブ」と位置づけ、双方で相乗効果が産まれる体制を整え、再始動をしております。
One&Coへの移転は様々なバックグラウンドを持つビジネスパーソンが繋がる環境に魅力を感じ、新たな価値創造を目指して2024年6月に入居しました。
――One&Coにご入居してからの感想を教えてください。
One&Coに入居したのは、私は以前東京で森ビルのインキュベーションセンターに入居していた経験があり、このような施設の特徴や利点を理解していたからです。
また台北駅や松山空港からのアクセスの良さや、周辺に日系ホテルや飲食店などが多く、便利なロケーションであることに加え、JR東日本の運営である信頼感もあります。
独自オフィスでは取り揃えることが難しいファシリティの充実さも、社員のモチベーション向上につながると思いました。
今後に向けた提案ですが、定期的に開催されるピッチイベントは、個社がプレゼンした後に、具体的に相互で協創につながる工夫や、外部の専門家にも参加してもらい、各社の事業がよりブラッシュアップできるようになる仕組みがあれば嬉しいです。
また、CSR活動、台日交流行事など、個人メンバーや小規模企業ではなかなか難しい活動をメンバー皆となって行い、社会に発信して更なる交流や社会貢献に繋げていく、というアイデアはいかがでしょうか?
――最後に、今後の意気込みや目標を教えて下さい。
会社としては2030年に向けて、攻めの組織へと転換を進め、新たな事業の柱を作り、既存事業を更に拡大させる事が目標です。台湾の魅力ある企業とタイアップして自社の持つ商社機能を発揮して、台湾とグローバルの架け橋となりたいです。大きなチャレンジですが、アソシエイトとのチームワークを大切にしながら、目標の実現に向け、着実に進めていきたいです。
個人的には3年前から趣味で始めたランニングを続け、台湾各地のマラソンイベントにも参加したいです。台湾でフルマラソン4時間を切る事が目標です。また家族で日月潭、阿里山、太魯閣など美しい台湾の名所へも訪れてみたいです。